着物を大切に運ぶために欠かせない風呂敷。でも、どのサイズを選べばよいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。実は、着物を包む風呂敷のサイズ選びには、包む内容や持ち運び方によって最適な大きさがあります。
本記事では、着物一式を安全に美しく包むための風呂敷サイズの選び方から、実践的な包み方まで詳しく解説いたします。
- 着物一式を包むには90cm以上の風呂敷が必要
- たとう紙の有無でサイズ選びが変わる
- 素材や厚みも持ち運びやすさに影響する
- 天候対策も風呂敷選びの重要なポイント
着物を包む風呂敷サイズの基本知識

風呂敷で着物を包む際には、適切なサイズ選びが何よりも重要です。小さすぎれば包みきれず、大きすぎれば扱いにくくなってしまいます。ここでは、着物を美しく安全に運ぶための風呂敷サイズの基本について解説いたします。
- 風呂敷の伝統的なサイズ表記とは
- 着物一式に最適な風呂敷の大きさ
- たとう紙の有無で変わる必要サイズ
- 風呂敷の素材と厚みの選び方
- 持ち運び方法で選ぶ風呂敷の種類
- 季節や天候を考慮したサイズ選択
風呂敷の伝統的なサイズ表記とは
風呂敷には独特のサイズ表記方法があります。古くから「巾(はば)」という単位を使い、昔の生地幅である約38cmを基準としています。たとえば二巾(ふたはば)は約68cm、三巾(みはば)は約105cmというように、巾数によってサイズが決まります。現在では中幅(約45cm)から七幅(約238cm)まで、実に13種類以上のサイズが存在しています。
ただし近年では、小風呂敷、中風呂敷、大風呂敷という簡略化された呼び方も一般的になってきました。着物を包む際には、これらのサイズ表記を理解しておくことで、適切な風呂敷を選びやすくなります。実際の購入時には、センチメートル表記と併せて確認することをおすすめします。
着物一式に最適な風呂敷の大きさ
着物一式を包むためには、最低でも90cm以上の風呂敷が必要です。具体的には、二四巾(約90cm)から三巾(約105cm)のサイズが最も使いやすいとされています。このサイズであれば、着物、長襦袢、帯をコンパクトにまとめて包むことができます。
一方で、草履やバッグ、着付け小物まですべてを一緒に包みたい場合は、四巾(約128cm)以上の大判サイズが適しています。特に150cm幅の風呂敷なら、着物一式に加えて必要な小物類もひとまとめにできるため、美容院への持ち込みなどに便利です。
たとう紙の有無で変わる必要サイズ
たとう紙は着物の保管には欠かせませんが、持ち運びの際には外すことが推奨されています。なぜなら、たとう紙のまま折りたたむとかさばるだけでなく、かえってシワの原因になることがあるからです。また、たとう紙自体が傷んでしまうリスクもあります。
もしたとう紙を折り曲げずにそのまま包みたい場合は、最低でも125cm幅の風呂敷が必要になります。しかし実際の持ち運びでは、着物をたとう紙から出して三つ折りにし、90cm〜105cmの風呂敷に包む方法が一般的です。この方法なら、コンパクトで扱いやすい大きさにまとめることができます。
風呂敷の素材と厚みの選び方
風呂敷の素材選びも、着物を安全に運ぶために重要な要素です。綿100%の風呂敷は、洗濯可能で清潔さを保ちやすく、着物を包むのに最適です。適度な厚みがあってしっかりした生地を選ぶことで、包んだ着物をしっかりと保護できます。
価格の目安としては、綿の大判風呂敷で1,000円から3,000円程度が相場です。安価なものは生地が薄く、重い着物を包むには不向きな場合があります。逆に、西陣織などの高級風呂敷は7,000円以上することもありますが、耐久性と美しさを兼ね備えています。用途や予算に応じて選ぶとよいでしょう。
風呂敷の厚みによる使い分け
厚み | 特徴 | 適した用途 |
---|---|---|
薄手 | 軽くて扱いやすい | 軽い着物や小物の包装 |
中厚 | バランスが良い | 一般的な着物の持ち運び |
厚手 | 丈夫で安定感がある | 重い着物や長距離の運搬 |
持ち運び方法で選ぶ風呂敷の種類
風呂敷で包んだ着物の持ち運び方には、いくつかの方法があります。最も基本的なのは、両手で底を支えるように水平に持つ方法です。この場合、90cm〜105cmの風呂敷が扱いやすいサイズとなります。結び目を持つのではなく、包み全体を支えることで着物への負担を最小限に抑えられます。
もう一つの方法は、風呂敷包みを二つ折りにして紙袋やバッグに入れる方法です。この場合、きっちりと隙間なく包むことが重要で、中で着物が動かないようにする必要があります。縦にして収納すれば、シワになりにくく安定した状態で運べます。
季節や天候を考慮したサイズ選択
雨の日や湿度の高い季節には、着物を水濡れから守る工夫が必要です。大きめの風呂敷を選ぶことで、包みに余裕を持たせ、さらにビニール袋で覆うこともできます。特に梅雨時期や冬場の雪の日には、撥水加工された風呂敷を使用するか、通常の風呂敷の上から防水対策を施すことが大切です。
また、色の濃い風呂敷は湿気によって色落ちする可能性があるため、初めて使用する前に必ず洗濯しておくことをおすすめします。事前にタオルなどで軽くこすり、色移りがないか確認しておけば安心です。このような細かな配慮が、大切な着物を守ることにつながります。
実践!着物を包む風呂敷サイズ別活用法

実際に着物を風呂敷で包む際には、サイズごとに適した包み方があります。ここでは、具体的な包み方の手順から、美容院への持ち込みまで、実践的な活用方法を詳しく解説いたします。
- 90cm〜105cmの風呂敷での包み方
- 120cm〜150cmの大判風呂敷の利点
- 複数の着物を包む場合の風呂敷選び
- 小物類と一緒に包むコツと注意点
- 風呂敷包みの正しい結び方と持ち方
- 美容院への持ち込みに適したサイズ
90cm〜105cmの風呂敷での包み方
90cm〜105cmの風呂敷は、着物一式を包むのに最も使いやすいサイズです。まず着物と長襦袢を三つ折りに畳み直します。次に風呂敷の中央に、下から帯、長襦袢、着物の順で重ねて置きます。帯揚げや帯締めなどの小物は、着物の上にまとめて載せると良いでしょう。
包む際のポイントは、風呂敷と着物の間に隙間ができないよう、ぴったりと包むことです。向かい合う角を取って本結びにし、結び目は必ず着物に対して水平になるようにします。縦結びは縁起が良くないとされているため避けましょう。余った布は中に折り込んでまとまりよく仕上げます。
120cm〜150cmの大判風呂敷の利点
大判の風呂敷を使用する最大の利点は、着物一式に加えて着付けに必要なすべての小物をひとまとめにできることです。草履やバッグ、髪飾りなども一緒に包めるため、忘れ物の心配がありません。特に150cm幅の風呂敷なら、ゆとりを持って包めるため、着物へのシワも防げます。
さらに大判風呂敷は、使用後も活用の幅が広いのが特徴です。テーブルクロスやソファーカバーとして使えるほか、災害時には仕切りや簡易的なリュックサックとしても活用できます。このような多目的性を考えると、一枚持っておくと便利なサイズといえるでしょう。
複数の着物を包む場合の風呂敷選び
結婚式や旅行などで複数の着物を持ち運ぶ場合は、五巾(約180cm)以上の特大サイズが必要になります。ただし、あまりに大きすぎると扱いが難しくなるため、着物2〜3枚程度なら150cm幅の風呂敷を複数使用する方法もおすすめです。
複数の着物を一つの風呂敷に包む場合は、それぞれの着物を薄紙で仕切ることで摩擦を防げます。また重ねる順番も重要で、最も大切な着物を一番上に置くことで、取り出しやすく、シワも付きにくくなります。
小物類と一緒に包むコツと注意点
着付け小物を着物と一緒に包む際は、配置に工夫が必要です。硬い小物や金具のついたものは、着物に直接触れないよう小さな布や紙で包んでから入れましょう。帯締めや帯揚げは、着物の上に平らに広げて置くと、シワになりにくく取り出しやすくなります。
一方で、草履やバッグなどかさばるものは、別の風呂敷や紙袋に入れることをおすすめします。無理に一つの風呂敷に詰め込むと、着物にシワや型崩れが生じる原因となります。持ち運びの利便性と着物の保護のバランスを考えて、適切に分けることが大切です。
風呂敷包みの正しい結び方と持ち方
風呂敷の結び方で最も基本となるのが「真結び」です。まず風呂敷の二つの先端を交差させ、上側の先端を下側と絡めて結びます。次に結び目の両端を下方向に傾けながら輪を作り、左側の先端を右側の上から被せるように通します。最後にきつく引っ張れば、ほどけにくい丈夫な結び目の完成です。
持ち運ぶ際は、結び目を持つのではなく、必ず両手で底を支えるように持ちます。これにより着物の重さが均等に分散され、型崩れを防げます。長時間の移動の場合は、風呂敷包みを縦にして大きめのバッグに入れる方法も有効です。
美容院への持ち込みに適したサイズ
美容院での着付けを依頼する場合、最も実用的なのは105cm〜125cmの風呂敷です。このサイズなら、着物一式をコンパクトにまとめられ、美容院のスペースでも扱いやすくなります。ただし、事前に美容院に確認し、箱のまま持ち込む方が良い場合もあることを覚えておきましょう。
持ち込む直前に荷造りすることも重要なポイントです。前日や数日前に包んでしまうと、余計なシワの原因となります。当日の朝、着物をハンガーから下ろして丁寧に包むことで、最高の状態で着付けに臨めます。風呂敷の良さは、使用後に小さく畳んで持ち帰れることにもあります。
まとめ:着物を包む風呂敷サイズの選び方

着物を包む風呂敷サイズ選びには、様々な要素を考慮する必要があります。本記事で解説した内容を踏まえ、最適な風呂敷選びのポイントを整理いたします。
- 着物一式のみなら90〜105cmの風呂敷が最適
- 小物も一緒に包むなら120〜150cmの大判サイズを選ぶ
- たとう紙から出して三つ折りにすればコンパクトに包める
- 綿100%で適度な厚みのある風呂敷が着物の保護に最適
- 雨天時は撥水加工や防水対策を忘れずに行う
- 真結びでしっかり包み両手で底を支えて持ち運ぶ
- 美容院への持ち込みは105〜125cmが扱いやすい
- 複数の着物なら150cm以上か風呂敷を複数使用する
- 硬い小物は別包装して着物への負担を避ける
- 持ち運ぶ直前に包むことでシワを最小限に抑える
- 色の濃い風呂敷は事前に洗濯して色落ちを確認する
- 風呂敷の巾(はば)表記を理解してサイズを選ぶ
- 用途や予算に応じて素材と価格帯を検討する
- 季節や天候に合わせて適切な対策を講じる
- 包み方の基本を身につけて大切な着物を守る